June 12, 2007

長靴をはいた猫~元祖:よいしょの男

 赤ずきんや眠れる森の美女と並ぶペローの代表的童話。今回馬場のぼるさんの絵本を見て今までにない気分を味わいました。絵がほのぼのとしているせいでしょうか?以前テレビドラマで放送されていた稲垣吾郎ちゃんのよいしょの男を連想してしまいました。もちろん、よいしょの男の何倍もこの猫のほうが抜け目ないんですが・・・

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May 14, 2007

シンデレラ~シンデレラはほんとうにしあわせになったのか?

 世界中にこのお話を知らない人がいないんじゃないかというくらい有名なお話。あまりに有名すぎて記事を書くのを躊躇してしまうほどです。

 アマゾンでシンデレラと検索をかけると、出るわ出るわ民話のシンデレラだけでも相当あるのに、それに輪をかけて「○○のシンデレラ」だの「シンデレラの~~」だの、いかに世界中の人々の心にこのお話が刷り込まれているかが窺える。

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April 10, 2007

ロバのおうじ~エゴイズムの皮

 ロバというとウマをちょっと小さくしたような動物だけど、精悍なイメージのウマとは対照的にロバは鈍いとか愚かとかいうイメージが付きまとう。ロジャー・デュボアサンの ロバのロバちゃん は他人の意見に振り回されるロバのおはなしだし、イソップのロバを担いだ親子は同じく人の言うことばかりを聞き入れて愚かなロバを担がせられた愚かな親子のお話。同じグリム童話のロバの皮は日本の鉢担ぎに似た、醜いロバの皮を被せられた女の子が、見た目でなく人間としての本質を理解してくれる、彼女を本当に愛してくれる人に出会ったことで魔法が解け、真実のきれいな姿が現れるという話。この話は男性版ロバの皮

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March 01, 2007

グリーシ~ケルトの幻想的ロマンス

 こちらも『イギリスとアイルランドの昔話』の中のひとつで、アイルランドのお話です。

 ある夜若者グリーシは妖精たちが集まっているところに出会わせました。妖精達と一緒にフランスまで行きちょうど城の婚礼の席に姿を消して参列します。その夜結婚させられるお姫様は望まない相手との結婚を悲しんでいました。それを知ってる小人の一人はお姫様を奪おうとします。小人はグリーシが人間なのでお姫様を馬で運べるため連れてきたのでした。

 お姫様を奪った妖精一向はアイルランドに戻ります。グリーシはお姫様が小人のものになってしまうのが気の毒に思い自分が連れて逃げます。怒った小人は呪いをかけ、お姫様は話すことが出来なくなってしまいます。司祭さまのところに身を寄せたお姫様の元にグリーシは毎日尋ね、いつしか二人の間に愛情が育まれます。

 ちょうど一年経った夜、グリーシは妖精が集まっていたところに行ってみます。妖精たちはグリーシのことを今でも怒ってます。それでも妖精がグリーシに言った悪口から呪いを解く方法をかぎつけ、お姫様は話が出来るようになり、その後二人は幸せに暮らしました。

 とてもロマンティックなお話ですね。現実的なイギリスに比べアイルランドの話には幻想的なものが多いように思われます。イギリスと一口にいってもイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドという4つの国から出来ています。そのうちイングランドはアングロ・サクソン系、イングランドを除く3つの国はアイルランドと同じケルト系の人達で主に構成されています。

 ハリー・ポッターのJ.K.ローリングスさんはウェールズ出身。ナルニアのCSルイスはアイルランド人。ケルト系はファンタジーの宝庫ですね。

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おスだんなと、おスおくさん~ばか者を愛するイギリスの伝統

 福音館文庫から出ている『イギリスとアイルランドの昔話』はジェイコブズの昔話などを石井桃子さんが翻訳したもの。おなじみ三びきの子ブタジャックとマメの木などが載っている。石井桃子さんの日本語が簡潔でやさしくてそのまま子どもに読んであげられそうです。

 今回ピックアップするのは おスだんなと、おスおくさんという話。ジャックとマメの木のジャックや三人の愚か者と同じようなおばかな人達の物語。あらすじはこんなです。

 おスだんなと、おスおくさんはピクルスを漬けるガラスの瓶の中に住んでいました。毎日おスだんなはピクルスにする野菜を畑で作り、おスおくさんはガラス瓶の中をピカピカに磨いておりました。ある日おスおくさんがクモの巣を取り払おうとして箒の柄でガラス瓶を割ってしまいます。ワアワア泣きじゃくるおスおくさんをおスだんなはなだめ、働き口を探しに行こうと言います。家の中のものはどうするんだとおスおくさんが聞けば、おスだんなは戸を持っていけばあける戸がないから戸をあけて入ってこようとするの者はいないと言います。

 ひょんなことから泥棒の金貨を手にすることができた二人。おスおくさんはそのお金でウシを買ってミルクを絞ってバターを作り生計を立てようと提案します。おスだんなは言われるまま市場でウシを買ったのですが、風笛を吹いてる人に出会うと、バターを作るより風笛を吹くほうがらくに金が稼げると風笛とウシを取り替えてしまいます。ところがいざおスだんなが風笛を吹くと上手に吹けません。その後おスだんなは風笛を手袋と取り替え、その後は手袋と杖を取替え、最後は自分の間抜けさを笑いものにするカササギに杖を投げつけ杖までも手放してしまいます。

 まるで逆わらしべ長者ですね。イギリスの昔話には不思議とこんなばか者がよく登場します。ユーモアの国といわれるように自分がばかになって周りを和ますイギリス人の気質とイギリス人のばか者への愛情を感じます。

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February 05, 2007

せかいいちおいしいスープ~気持ちいい騙され方

 ずいぶん前にスーパーの中にあるベーカリーのパートをしていたことがあります。朝9時から午後1時までの半日パートでした。私より数ヶ月後にFさんという人が入ってきました。彼女は午後1時からのパートなので伝達するくらいの係わりしかありませんでしたが、ものすごく仕事熱心な方で見ていて清々しいくらいでした。

 以前は男性の正社員が主任として現場を管理してましたが、今ではリストラによって正社員の配置を解除してパートだけで現場をやりくりするようになったそうです。Fさんは中心となって主任代行として頑張って勤めています。

 私はお菓子を作るのが趣味なので、以前は家族の誕生日とクリスマスには必ず自分でケーキを焼いたものでした。ところがここ数年年末が忙しい仕事に就いたためFさんのところでクリスマスケーキを注文するようになりました。Fさんは熱心なうえ営業も上手いので頼まれると不思議と「この人になら騙されてあげよう」という気分になるんです。同じ職場に当然他の知り合いもいるんですが、他の人だったら体よく断ってしまったかもしれません。

 さて、今回紹介するお話はフランスの民話をマーシャ・ブラウンが描いた絵本。廃刊になっているようですが、私がラボ(英語教室)のテューター(先生)だった時ライブラリー(教材)として会員のみに販売されました。その年のサマー・キャンプのテーマもこのSTONE SOUPだったのでとても印象深い一冊です。

 お腹をすかせた兵隊が通りがかったある村で何か食べるものを分けてもらおうと村の人たちに頼むと、自分達の食べるものがなくなるのを懸念した村人は食べ物を隠して〈ない)と言い張ります。そこで兵隊達は石からスープを作ると言い出して・・・

 最初は警戒していた村人も兵隊達の話術に乗せられて次から次へと食材を提供していきます。そして具沢山のおいしいスープができあがります。まるで兵隊達がまんまと村人を騙したようにも見えるのですが・・・私が思うに村人達はスープを作っていく過程で嵌められたことにうすうす気がついていたんじゃないでしょうか。そして騙される課程を結構楽しんでいたんじゃないでしょうか。それこそ「この人たちに騙されてやろう」って。

 一方的に損をするような騙され方は後味悪いでしょうが、騙されたほうが楽しめるならそれはそれでいいのでは。気持ちよく騙されることもまた人間関係のひとつの醍醐味かもしれません。

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January 11, 2007

ブレーメンのおんがくたい~高齢化社会のテキスト

 グリム童話のこのお話は一見単純な勧善懲悪にみえるけど、おとなになって読んでみるといったいどこが勧善なんだ!という気分になる。というかロバ、イヌ、ネコ、ニワトリの4匹は他人を脅かし勝手に家に侵入しのっとったわけだから、現代の日本の法律に照らし合わせると少なくとも不法侵入罪、恐喝罪、横領罪の3つは適用される。これはヘンゼルとグレーテル同様悪い人には何やってもいいという考えが見え隠れして愉快じゃない。

 それからもうひとつ。人生80年として折り返し地点を曲がった世代になると、また別の寂寥感が滲んでみえる。おそらく60代、70代と年を重ねるに従って感じ方も変わってくるんじゃないだろうか。この本を幼稚園で読み聞かせした後、老人ホームで読み聞かせして反応の違いを探ってみるのも面白いかもしれない。

 日本は経済社会だから何といっても金稼ぐやつが強い。そんなに稼げなくても働き手としての価値があるうちはなんとか生き長らえていけるが、働けないものには現実は厳しい。4匹の動物達もそれぞれ年を取って働けなくなったおじいちゃん、おばあちゃんってわけだ。

 役に立たなくなったものは処分される運命。ただ殺されるのを待っているんだったら何処かへ逃げようとするおじいちゃん、おばあちゃん達の勇気と決断力には頭がさがる。「息子が言うことを聞いてくれない。嫁の仕打ちが冷たい」と愚痴をこぼすしてばかりいる年寄りにじゃなく、自分の生活を築いていける年寄りになりたいと思う。ただ、その時になってみないとわからない事だろうけど。

 とても不思議なのはタイトルが『ブレーメンのおんがくたい』なのに動物達はブレーメンまで到達していなく、音楽隊にも入らない。ブレーメンに行って音楽隊に入ろうという目標はどこからきたんだろうか?もしかしたらおじいちゃん達が六本木へ行ってIT企業を立ち上げようというくらい突拍子もない思いつきなのかもしれない。突拍子もない夢にしかすがれない現実はある意味悲しいけど、突拍子もない夢を原動力にしてでも動き出すことは素晴らしい。

 今回紹介する絵本は瀬田貞二さんのべらんめえ調の日本語が渋い味出している。

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April 08, 2006

しらゆき べにばら

 グリム童話なんですが、かの有名な「白雪姫」とは違います。もうひとつ別に「雪白姫」というのもあるみたいです。グリム童話はタイトルだけでも似たようなものが沢山あって紛らわしいですね。

 あるところに未亡人と二人の娘が暮らしていました。庭には大きなバラの木が2本、白バラと紅バラが生えてました。娘たちもそのバラのように愛らしくしらゆきべにばらと呼ばれてました。べにばらはいつも元気で野原を駆け回り、しらゆきはおかあさんの仕事を手伝ったり、本を読むのが好きなおとなしい子でした。

 ある雪の夜、1匹のクマが凍えそうなので暖まらせてほしいとやってきました。最初は怖がっとていた二人も次第にクマと仲良くなりました。クマは冬の間毎晩遊びにやってきました。やがて春になるとクマは別れをつげ、どこかへ行ってしまいました。

 ある日長い髭を木にはさまれた小人に出会います。なかなか髭が抜けなくて困っていたので、二人は持っていたはさみで小人の髭をちょん切ります。小人は助けてもらったのに、髭を切られたことをカンカンに怒ります。

 また別の日、つりをしていた小人は釣り糸が髭に引っかかってしまいました。なおかつ餌に大きな魚が喰らいついて魚に海へ引きずりこまれそうです。しらゆきべにばらは持っていたはさみで小人の髭を切り、魚を放してやります。小人はまた髭が切られたことを怒ります。

 次に小人に出会ったとき、小人は大きな鳥に捕らえられ連れて行かれるところでした。二人は小人の体を引っ張って鳥から離して助けてあげました。今度は小人は服が破れたと行って怒ります。

 最後に小人と出会った時、小人は宝石を広げていました。するとどこからかクマが現れました。小人はクマに宝石はみんな返すから助けてくれ、自分を食べないでしらゆきべにばらを食べてくれと言います。ところがクマは小人を突き飛ばし、小人は死んでしまいます。すると小人の魔法はとけ、クマは元の王子の姿に戻りました。

 ストーリーはグリム童話にしては教訓めいたものもなく、残忍性もそれほど感じません。それだからあまり有名にならなかったのかもしれません。図書館で偶然この本を手にして絵の魅力に惹かれてしまいました。デッサンのような白と黒だけの絵にピンク(ばら色といったほうがいいんでしょうか)を合わせた素朴なタッチの絵です。二人の女の子の表情もとても愛らしいです。

 

 

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February 07, 2006

てぶくろ~おうちごっこの楽しみ

  おままごとという遊びは誰でも一度くらいは経験していることでしょう。私も子どもの頃よくやった遊びです。ただ私達の間ではおままごとではなく、おかあさんごっこと呼んでいました。遊び方は子ども達それぞれが家族の誰かの役をやって遊ぶ、誰でも知ってるあのパターンです。遊ぶ人数が増えてくるとおかあさんごっこの発展形としておとなりさんごっこという遊びに変わります。世帯数が増えただけで、1軒分の遊びより近所づきあいが加わり、おかあさん同士、子ども同士の交流が楽しめます。
 
 私達の遊びの特徴は見事なまでの女系社会。遊んでいる子は全員女の子。おかあさん、おねえさん、いもうと、あかちゃん、時にはお手伝いさんという配役が割り振られ、誰もおとうさんとか男の子の役をやりません。近所に男の子がいない訳でもないのに、男の子が加わってお父さん役をやったという経験はなかったですね。そして、設定上完全な母子家庭ではなく、おとうさんは仕事で外国へ行ってる・・・とまるでリカちゃんの家庭のような肩書きをつけたのでした。

 時にはおかあさんごっこおうちごっこと呼ぶ事がありました。結局どちらも同じ遊びなのですが、おうちの実体がある場合おうちごっこと呼ぶ傾向にありました。ダンボール箱とかジャングルジム、汽車ぽっぽ公園の汽車の中など。家で遊ぶ時は勉強机の下やおかあさんの足踏みミシンの下がそのままおうちになったりしました。子どもって狭い空間にひしめき合って入るのが好きですよね。

 でも、狭い空間にひしめき合うのが好きなのは子どもばかりじゃないようです。キャンプ場のテントやバンガローも一種のおうちごっこじゃないかな?現実の家を離れてコンパクトで簡素なおうちでおとなも子どもも一緒になって遊んでいる気がします。雪国のかまくらとか公園や大邸宅の庭にあるあずまやも一種のおうちだと思います。

 この絵本の中の動物達も、なんとも楽しそうにてぶくろおうちごっこしているじゃありませんか。現実にネズミやウサギがキツネやオオカミと同じおうちに入るなんてありえませんよね。物語の世界だからこそ、それはありなんでしょう。この話の最初と最後におじいさんとイヌが出てくるんですが、彼らの絵は出てきません。おそらく、おじいさんとイヌはこちらの世界のものなので、あちらの世界(物語の世界)では姿がみえないんでしょう。きっとおじいさん、こちらの世界とあちらの世界の境界線にてぶくろを落としちゃったんでしょうね。

  この動物達はウクライナの民族衣装とおぼしきものを着込んで出てくるのですが、それがまた暖かそうでしかもお洒落!雪が降っているため空の色はグレー。どんよりした背景に動物達の鮮やかな衣装のコントラストがとても素敵です。


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September 25, 2005

ジャックと豆の木~とるにたりない男の成功

 ジャックというのは英語圏では何処にでもいる平凡な名前の代名詞。ちょうど日本語の太郎のような感じです。びっくり箱はJack in box(箱入り太郎)、ハロウィーンのかぼちゃは Jack-o-lantern(ちょうちん太郎)というように擬人的なものにも使われて親しまれてもいます。 
 
 「ジャックと豆の木」にでてくるジャックは、牛一頭と豆5粒を交換してしまうようなバカ者です。年齢がいくつくらいかはっきり書かれていませんが、おかあさんの話し振りからして一人前の大人でないことだけはわかります。ただ、学校へ行っている様子もなく、母ひとり子ひとりの貧しい家庭で暮らしているからには、子どもといえども大人と同じようにしっかり働かなければならなかったはずです。

 「長靴をはいたネコ」や「わらしべ長者」のようにどってことない主人公が成功して金持ちになる話は多々存在します。しかし、「長靴をはいたネコ」の末息子自体はこれという取柄もなかったけど、お付きのネコが才長けていたために出世できました。「わらしべ長者」は困っている人に手を差し伸べたり、相手の要求を満たす事によって結果的に自分の財産が大きくなっていったのです。

 ところが、このジャックは一体どんな取柄があったのでしょう。敢えて言うなら見知らぬ老人の言う事を鵜呑みにするくらい素直であったこと。大男の奥さんが食べ物を食べさせてくれ、なお且つ大男から命を守ってくれた事から察して人に警戒心を与えない憎めない存在であったことはわかります。ただ、ジャックが子どもだと仮定するなら、それらはどんな子どもにも備わった資質なのでジャックの取柄とは言いがたいです。

 私は個人的には主人公が運がいいだけで金持ちになっちゃう話より、頑張った人が報われるような話がすきです。現実の世界でも一所懸命がんばってる人がついてなくて、たいして努力もしないのに運がいいだけで幸せになっちゃう人がいるのは確かです。世の中公平には出来ていないようですね。

 それはそれとして、この話はやっぱり面白い。大事な牛を豆5粒と交換しておかあさんに叱られた翌朝、ジャックは窓の外に天まで届きそうな豆の木を発見します。ただひたすら登っていった先に大男の家がありました。そこでジャックは大男の奥さんから食べ物を分けてもらい、大男から命を救ってもらいます。

 大男の足音がthump! thump! thump! と響くと途端に緊張が走ります。ジャックは奥さんにオーブンに隠してもらい大男が食べ終わって寝るのを待ちます。

"Fee-fi-fo-fum,
I smell the blood of an Englishman,"
    Be he alive, or be he dead
I1ll have his bones to grind my bread."

        「人が喰いたい どの子をとろか
         イギリス野郎のうまそなにおい
         生きてようと 死んでようと 手当たり次第
         骨を粉にすりゃパンになる」
 
 大男のセリフのFee-fi-fo-fumは西洋の人食い鬼の決まり文句だそうです。この時まさに現実のかくれんぼをしていたジャックの恐怖ったらなかったでしょうね。この歌うようなリズミカルなセリフが読者をよりゾクゾクさせる効果を発揮しています。

 大男の寝ている隙に金貨の入った袋を盗み出したジャックは、二度目は金の卵を産むめんどりを手に入れます。
一度目はただの偶然でしたが、二度目は結果を期待して出向いて行きます。三度目はさすがに大男の奥さんも騙せないと悟り、奥さんのいない隙に家に入り込みます。人間一度チャンスを手にすると成長するのでしょうか。ただのお人好のジャックも知恵が働くようになってきました。

 ところが、三度目は思いもよらないことが起こります。ジャックが手にした金のハープが「ご主人様、ご主人様」と大男に訴えかけたのです。その声に大男も目を覚ましジャックを追いかけてきます。さあ大変、豆の木を下へ下へと降りるジャック。上からは大男が迫ってくる。この時読者はすっかりストーリーの中に取り込まれて無意識にジャックを応援しているのです。その臨場感こそ、この物語の一番の魅力ですね。

 自分の家までたどり着いたジャックは斧で豆の木を切り倒し、大男を退治します。そして、金持ちになりいつまでも幸せに暮らしました・・・と終わります。

 運だけで成功を手にする人もいないわけではないけれど、成功する人はやはり何かしら資質を持っているのが原則です。なんてことない人が成功を収める・・・というのは大昔からの人間の原始的願望のひとつなのかもしれません。

 


 

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