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May 14, 2007

シンデレラ~シンデレラはほんとうにしあわせになったのか?

 世界中にこのお話を知らない人がいないんじゃないかというくらい有名なお話。あまりに有名すぎて記事を書くのを躊躇してしまうほどです。

 アマゾンでシンデレラと検索をかけると、出るわ出るわ民話のシンデレラだけでも相当あるのに、それに輪をかけて「○○のシンデレラ」だの「シンデレラの~~」だの、いかに世界中の人々の心にこのお話が刷り込まれているかが窺える。

 不思議な絵本に出会ってしまった。文章はさほど魅力があるわけではないが、ペローのストーリーを忠実になぞっている。ところが絵が非常に個性的。デッサンのような線描に淡い色を重ねた、白が目立つイラスト。シンデレラはロングヘアーではなく、ソバージュがかかったようなセミロングヘアー。80年代のファッション雑誌に出てくるようで言い様によってはお洒落な絵だ。妖精も魔法使いのおばあさんではなくて、まるでチューリップの花のような現実離れしたシックな様子。確かに絵に魅力がある。

 魅力は感じるんだけど、この絵本が好きになれるかというと首をかしげてしまう。本来私はあまりシンデレラは好きではない。もともと玉の輿願望が希薄で、玉の輿に乗るんじゃなくて出来れば自分の力で出世したいと願うようなおこがましい奴なんだ。だからってワケじゃないけど、この絵本を見ているとふと疑問が沸いてくる。シンデレラって本当にしあわせになったの?

 昔、テレビのホームドラマでお父さんが子どもに言ってる場面だか、彼氏が彼女に言ってる場面だか忘れたけどこんな会話を耳にしたことがある。

 「白雪姫とシンデレラは結婚した後どちらがしあわせになったでしょう?」
 話してる相手がわからないと言うと、
 「白雪姫はもともとお姫様だったからお城の生活に馴染めるけど、シンデレラは庶民だから多分いろいろ苦労したんだと思う」
 子ども心に聞いてて妙に納得してしまった覚えがある。

 生育環境や価値観の相違。愛の力でそれを乗り越えるカップルもいれば、似たような世界で暮らしながらもわかれてしまうカップルもいる。でも、私が言いたいのは今回はそういうことじゃない。

 この絵本を見ているとシンデレラだけでなく、妖精も継母も姐さん達も王子様も、なんだか暗い表情をしている。ちっとも楽しそうじゃない。シンデレラは王子様と一緒になったことで、確かに継母や姐さん達のイジメと労働からは解放されたけど、王妃になって別の不幸が待ち受けてるとも考えられないか?

 誰でも貧乏よりは金持ちのほうがしあわせだと思ってる。いじめられてる環境より愛してくれる人のそばにいるほうがしあわせだと思ってる。では、愛してくれる人を自分が好きになれなかったら・・・

 お金があるのがしあわせ、結婚できればしあわせ。なにかステレオタイプの価値観。もしかしたら多くの人がじぶんはしあわせだと思い込まされているだけなのかもしれない。そこそこの仕事が出来て、そこそこの人と結婚できて、そこそこの家に暮らし、そこそこの生活が出来てるから自分はしあわせなんだと思い込む。思い込んでも実感が伴ってない。この絵をみていると、そんなアンニュイな気分になってしまうのでした。

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Comments

宇野亜喜良さんは、どんな思いで、その絵を描かれたのでしょうね。
わたしも、どちらかというと、シンデレラかアリーテ姫なら、アリーテ姫に惹かれるタイプです。
「しあわせ」って、人が決めるものでもないし、自分で決めるものでもないものなのに、「シンデレラ」は完全に価値観を押しつけている。
でも、いじめられていたシンデレラがみんなが羨む王子さまに見初められて、羨望の的となるこのお話を読むと、なぜだか、スッキリもします。
絵だけで選ぶなら、わたしは、マーシャ・ブラウンの「シンデレラ」が好きです。

Posted by: noel | May 15, 2007 at 12:01 AM

noelさん、アリーテ姫ってどんな話に出てくるお姫様なのですか?初めて知りました。

マーシャ・ブラウンの絵は確かに素敵です。この絵本は書店に並んでいた時、迫ってくる感覚で手にしてしまったんです。時々そういう絵本あるんですよね。

Posted by: ぴぐもん | May 15, 2007 at 04:41 PM

宇野亜喜良さんの絵はファンタジックでおしゃれな感じがするけど、なんとなく敬遠してしまいます。
シンデレラも貧乏させられましたけど、元は貴族の娘ですよね。そういう時期を乗り越えたというあたりは「シンデレラ、頑張ったね!」といいたくなるような気もちもあります。
でも、最近の風潮というか、やっぱり「勝ち組」なんていう言葉に象徴されるような、経済的に裕福、成功することがよいとされるようなことをシンデレラの結末はあらわしているように思えてしまいます。
それだけじゃないけど、と思います。グリムやペローなどは好きなのですが、最後に成功するというところが好きというわけではないな、と自分で改めて思いました。
絵本ではあまりメルヘンを読まないのですが、こういう絵によっては雰囲気やイメージが違うものだと思いました。

Posted by: kmy | May 16, 2007 at 09:00 PM

逆境に耐えてがんばったシンデレラ。そう考えると確かにいいお話なんだなと思います。

同じ原作でも演じる俳優によって全く違う映画になるように、イラストによっては本当に印象が変わるんだとつくづく感じました、

私のイメージするシンデレラはこんな感じじゃないけど、ディズニー映画とも違う。自分のイメージにドンピシャリな絵ってなかなかないですよね。

Posted by: ぴぐもん | May 17, 2007 at 03:58 PM

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