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October 01, 2006

おおきな木~しあわせってなんだっけ?

 先日、えほんうるふさんの オトナノトモに この本についての大変興味深い記事が載せられていました。どちらかといえば さらっと読んじゃった絵本なので、本文よびそれにつけられているコメントを読んであれこれ考えさせられてしまいました。

    共依存の甘い罠 http://pictbook.seesaa.net/article/23473524.html

 この絵本は英語版とフランス語版を持っているのですが、実は日本語版は読んだことがなかったので図書館で借りてきて初めて読みました。率直な感想を言わせてもらうと日本語版の文章、私好みじゃありません。英語で読んだほうが余計な修飾がなく、すっきり読める気がします。

 少年に対して木はどんなに大きくなっても「ぼうや」と語りかけてます。ところが語りのほうは、最初は ちびっこ、少し大きくなると その子、家庭を持つくらいになると おとこ と変化していく。物語の流れからいってごく自然なことなんだが、なぜか英語版ではどんなに歳をとっても Boy、フランス語版では le garcon と変化しない。年とった男をわざわざBoyのままで語っているのは作者があくまで木の視点に立っているからなのか?それとも何か別の思惑があるのか?少し気になった。

 何気なく読んでしまうと単なる無償の愛がテーマの話なんですが、ある1つの文章にとても引っかかりました。その一文で物語の流れが大きく逆流する位の衝撃を受けました。木がりんごを与え、枝を与え、幹を与え最後は切り株の姿になってしまったシーン。

 And the tree was happy....but not really

 ことばにならない木の叫びが聞こえてきたような気がしました。but not reallyが入らなければこんな風には感じなかったんじゃないかと思います。

 かつてはその懐に大好きな少年を抱え込んでいた木。花が咲き、実がなり大きく美しかった。大好きな少年のために与えられるだけ与え、それは確かに喜びではあるが、変わり果てた自分の姿を侘しく思ったりもしたんじゃないか。まして木は彼のように船旅に出ることもできず、いつまでも生まれ育った森の中にいる。

 自分の夢もやりたいことも犠牲にして家族のために尽くしてきたのに、気がついたら皺だらけのおばあさん。もう今からじゃ何もできない。私の人生っていったいなんだったの?!---と叫ぶ初老の母親を連想させます。

 少年は最初はビジネス=お金、次に家庭=愛、それから旅=冒険へと違った形の幸せを求めていきます。でも結局彼は自分のしあわせを見出せなかったようですね。あてもなくしあわせを探し続ける存在とそれを見守るだけの存在。人生って案外そんなものなのかもしれませんね。


 

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Comments

こんにちは。トラックバックありがとうございました。

わあ、私が書きそびれた内容を見事に解説してくださっているので嬉しくなってしまいました。この絵本、私は運悪く日本語版から入ってしまったので第一印象からして懐疑的で、「与え尽くした喜びで至福の最後を迎えた」なんて解釈にはとうてい納得がいかなかったのです。だから、後に英語版を読んでこの "but not really." を発見したときには「やっぱり〜!!」と叫びたい気持ちでしたよ(笑)。

私が書いたこの絵本の記事には、ぴぐもんさんをはじめ多くの読者さんからの興味深いコメントが付きました。その問題提起力は素晴らしく、やはり名作には違いないと改めて思った次第です。なかでも、つい先日いただいた「ゆうちゃまん」さんのコメントには色々と考えさせられました。一見美しい「与える愛」、その自己犠牲の精神こそがエゴイズムの裏返しであるという発見に、この絵本の深さを思い知らされた気がします。

Posted by: えほんうるふ | October 02, 2006 at 03:30 PM

えほんうるふさん、
コメントありがとうございます。

 but not really は日本語だと
 だけどそれは ほんとかな・・・

なんか弱いですね。英語って確かにシャープですよね。その分衝撃も大きいように尾もまれます。

私がこの本を最初に手にしたときは、もう何年前だか忘れましたが・・・好感触だったように思います。若いときと若くなくなったとき、男性と女性でも受け取り方が異なるんでしょうね。

 あるいはその時々の精神的なコンディションでも変わるのかもしれません。
 好きな人ができた時や子どもが産まれたばかりのとき・・・
 失恋した直後や詐欺にあった直後・・・

 その人その人の人生観や目の付け所によって様々な答えが出てくる・・・やっぱり名作なんでしょうね。

Posted by: ぴぐもん | October 03, 2006 at 10:59 PM

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