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August 20, 2006

そらいろのたね~ひとり占めはわるいこと?

 ひとり占めはだめだよ。みんなで分かち合おうね。という大変わかりやすい主題の入ったこのお話、ほとんどの人は国語の教科書でお目にかかっていると思います。かわいらしい楽しいお話なんですが、今回ちょっと引っかかる疑問を投げかけたいと思います。といっても山脇・大村の《ぐり・ぐらシスターズ》を非難しようなんてことは毛頭思ってません。

 さて、もしもの話なんですが・・・もしもきつねが飛行機とそらいろのたねを交換しないで、誰にも知られずひとりでそらいろのたねを植え、誰にも知られずひとりで遊んでいたのなら、何も問題はなかったんじゃないでしょうか。

 ゆうじも ひよこ、ねこ、ぶたがそらいろのいえに入った後自分も参加しましたが、もしも自分の入れる大きさになる前に誰かが来なければ、ひとりで遊んでいたかもしれない。そしてその後友達を受け入れたかどうかもわからないですよね。

 そらいろのいえは降って沸いたようにできてしまったので、だれのものと特定することはむずかしいのですが、もしも現実に苦労して建てたマイホームに「ひとり占めしないで、みんなで分かち合おう」と近所の人が乗り込んできて、まるで自分の家みたいに振舞ったりしたらたまらないですよね。

 子どもだって中学生くらいになると自分の部屋がほしくなります。誰にも邪魔されず自分が好きに使えるスペース。自分のテリトリー=領域を得られることってうれしいことでもあるし、みんなが持っている本能なんですよ。動物の世界だって縄張り争いはあるんですから。

 領域は空間だけの問題じゃありません。仕事においても自分がその会社の中でどういう役割を果たすのか明確にわかっている場合は、その会社はとても働きやすい会社になります。反対に自分の役割があいまいだとその会社にいるのがとても居心地悪くなります。

 完全な自由などありえないけど、ある程度自分の判断で好きに動かせる時間や空間。人間は皆自分の領域を求めていて、それを得るために日々がんばっているんです。いい社会とは万人に領域が与えられ、そしてそれが保証されていることなんだと思います。

 欲張ってそらいろのいえをひとり占めしたきつねくんは最後に痛い目にあいます。もしもそらいろのいえがダンボールくらいにしかならなかってら、ひとり占めもそんなに咎められなかったかもしれません。ところが、町じゅうの子どもや森じゅうの動物たちが入れるくらい大きくなったそらいろのいえはきつねだけの手に負える存在じゃなくなっていたのでしょう。

 自分のサイズに合わない領域を求めると、あまりいいことはないのかもしれません。


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Comments

ぴぐもんさん、こんばんは。

おっしゃる通り、自分の身の丈に合わない生活は、誰がみても 不自然だ という事、その不自然な隙間に、みんな ちょうどよく入り込んでくるんですね。
それを受け入れられないキツネは、やはり こうなる運命にするのが、一番ぴったりと納まりますね。
はじめてこのお話を読んだ時は、本当にこの結末が いい気味だと思って、スッとしました。
第一 キツネは、飛行機とタネを交換していなくても、水をやって世話なんかしなかったんじゃないかなって思います。
そういう意味では、ちゃんとやることもせずに人のものをうわべだけでうらやましがったり、本質をわからず形だけマネばかりしてもダメだってこと。
そして、今役にたたなくても、愛情をもって育てていけば どんなに素敵なものに変身するかもしれない可能性がある・・・
あー、何か子育てに通じるものを、このコメントをかいていて感じました。
ちょっと論点がズレてきましたが・・・

Posted by: noel | August 22, 2006 at 10:42 PM

noelさん、こんばんわ
 確かにきつねはズルイですね。自分で種を植えることも水をあげることもしないで、最後においしいところだけ独り占め。おそらくきつねは(そらいろのたね)が植えるとどんなふうに成長するか考えてもいなかったのでしょうね。
 
 >今役にたたなくても、愛情をもって育てていけば どんなに素敵なものに変身するかもしれない可能性がある・・・

 またまた素敵なコメントありがとうございます。育てる楽しさ、成長する楽しさ、そんなことも新たに感じました。

Posted by: ぴぐもん | August 26, 2006 at 08:17 PM

ぴぐもんさま、はじめまして!
絵本読み聞かせをしているゆずしちみという者です。
マイブログにコメントいただいていたのになかなかこちらにコメント返しすることが出来ずにやきもきしていました(^^;遅くなり申し訳ありませんでした…

本当に偶然に、「そらいろのたね」ネタが同日更新で、とてもビックリです!運命でしょうか(笑)

私は絵本好きと子供好きが高じて、本当に軽い気持ちで絵本読み聞かせボランティアをやり始めたのですが、実は奥が深くて、繊細で、子供の将来にも関わる大事な教育の場面だと知って、いつも身の引き締まる思いで選書をしています。


>領域は空間だけの問題じゃありません。

なかなか鋭い視点をお持ちですごくドキッとしました。今現在、自分自身がこの問題で会社での居場所を探している最中なので。自分の仕事の区分だけが他のスタッフに比べハッキリせず、いつも悔しい思いをしたり、悲しい思いをしたりで、気づいたら鬱になってました。今は鬱状態から抜け出してるんですが。居場所を探して頑張りすぎて病気にまでなってしまった悪い例です(笑)これは、自分の領域以上に頑張りすぎたって事なんでしょうかね~…?

ぴぐもんさまのような視点で絵本を読めるようになると、もっともっと絵本の世界が広がるんだろうなと、目から鱗が落ちた気がしました!またお邪魔させていただきますね♪

Posted by: ゆずしちみ | August 30, 2006 at 11:16 PM

ゆずしちみ さん、
 ぴぐもんの書斎へようこそ。コメントじっくり読ませていただきました。
 
 実は私も20代の頃、自分としては一所懸命頑張っているのに成果が出せず、周りに認められていなくてやきもきしていました。

 不思議と30代になると余裕が出てきました。子どもを持ったことで自分が子ども達の役にたっているという充実感も確かにありましたが、仕事の面でも周囲から信頼され、頼りにされるようになりました。

 「そらいろのたね」みたいに1日で成長することはまれでしょう。小さな積み重ねもいつかは実ると思います。希望を捨てずに頑張ってください。

 是非また遊びにいらしてください。過去ログへのコメントも大歓迎です。

 ところで、ぴぐもん さま でなく さんで結構ですよ。

Posted by: ぴぐもん | September 01, 2006 at 10:40 PM

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