« March 2006 | Main | May 2006 »

April 30, 2006

ホワイト・グース~出掛けない子ども

 このブログによく遊びに来てくれる「とある町のちいさな庭から」のnoelさんは、ブログのサブタイトルにしているほどターシャ・チューダーがお好きなようです。実は私はターシャ・チューダーの本をまだ一冊も読んだことがありませんでした。いつか読んでみたいな・・・と思っていたらようやく巡り合いました。

 とがり耳の少年、ロビンはある日の夕暮れ時、白い服を着た不思議な少女と出会います。雁の群れの中に白く光輝いてる少女。少女は雁に乗ってどこかへ行こうとロビンを誘います。ロビンは赤ちゃんが寝てるからとか、お母さんが待ってるからと言って断ります。少女は何度か誘いますが最後はあきらめて行ってしまいます。白く光る雁となって・・・

 うす暗い景色の中に少女と雁だけが明るく光っているとても幻想的な絵本です。ひとりの少年と雁の妖精との束の間の交流・・・・なんですが・・・

 ナルニアのワードローブやアリスのウサギ穴。別の世界への入り口はとても身近なところにあって、しかもそれは子どもだけが通ることのできる特権。お話の中の子ども達は率先して別の世界へ出掛けて行きます。そして最後には一回り大きくなって元の世界へ戻ってきます。

 ところが、このお話のロビンは最初から出掛けません。この子は子どもでありながら、牛飼いという仕事を持ってます。牛達の面倒を見て、お兄さんとして赤ちゃんの面倒も見て、おかあさんのお手伝いも快くやったのでしょうね。自分がいなくなった後、おかあさんや赤ちゃんや牛達が困ることがわかっているんです。心のやさしい、いい子なんですね。

 それと同時にロビンが少女の存在を怖がっているような気がしました。確かに自分がいる世界とは別の世界の人や動物が突如目の前に現れたら、実際には怖いのかもしれません。特にロビンのようにおとなと同じような社会生活の一環を担っている子どもにとっては。

 ロビンに感心すると同時に、ちょっとかわいそうになった不思議な余韻の残るお話です。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

April 26, 2006

Lisa a des poux (リサしらみがはえる)

Lisa_a_des_poux

 ガスパールとリサシリーズの最新刊です。洋書といえども絵本というのは便利なもので、ことばが全部わからなくてもたいていのことは絵を見れば理解できてしまう。ところが今回はそうはいかなかった。絵を見ただけではシチュエーションがよく理解できない。それで、まずタイトルの poux を辞書で引いてみた。そしたらなんとシラミ

 不思議なことにタイトルがわかっただけでもストーリーの半分ぐらいは理解できてしまった。絵本、いえ物語におけるキーワードの役割の大きさを感じた。逆に言えばキーワードを押さえてさえいれば語学力がつたなくても外国語の本は読める、ということですね。それでも、このシリーズの他の作品に比べて今回は辞書を引く回数は多かったようです。

 あらすじはこんな感じですーーーーー
   
 ガスパールとリサが通っている学校ではシラミが話題にのぼり、誰がシラミがはえたなんて噂が飛び交い、みんなは自分は絶対シラミはない、シラミが生えるなんて不潔だ・・・なんて話し合っていました。学校から保護者へ子ども達の頭を調べるよう通達もでます。

 さて、家に帰ったリサちゃん、さあ大変。なんと頭にシラミの卵がついていた!!おかあさんにゴシゴシ頭を洗ってもらいました。

 翌日 学校でリサのいつにない変化に気づいたガスパールは「たいしたことない」と言って慰めます。ところがおしゃべりなベルティーュに感づかれてしまい、みんなにバラされ笑われてしまいます。挙句ベルティーュはクラスじゅうの子を自分の誕生パーティーに招待しますが、リサだけ仲間はずれに・・・・

 勝気なリサちゃんも今回はちょっと泣いちゃいます。でも決してジメジメしない、いつものポップなガス・リサワールド全開です。これまでにないストーリー展開で、これから先のシリーズがますます楽しみになりました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 23, 2006

あらしのよるにシリーズ

 以前小学校のPTAで図書委員をやっていました。その年の委員会では全校生徒と保護者からアンケートをとって図書室で購入する本の参考にしてもらう事が一番大きな仕事でした。回答率は50%にも満たなかったけど、読んでる子はほんとうによく本を読んでるんだとわかり、今時の子もまんざらじゃないなと思ったものでした。
 
 寄せてもらった本の感想、あらすじなどの紹介文を読んで、ほぼ全員が「これ、面白そう」「読んでみたい」と言ったのがあらしのよるにだったのです。

 さて、いざ読んでみて・・・なんというか・・・期待が大きかっただけにはぐらかされた感じがしました。ストーリーだけを追ってみると確かにいい話なんだけど、なぜか心に落ちてこない。あまり感動はしなかったです。私は絵本に関しては小説や長い童話を読んで得られるような感動は期待していない。大きな感動ではなく、じわじわ~っと読んだ後に小波のように押し寄せてくるものがあればいいと思っている。だけどそういったものは感じられなかった。

 文章の問題なのかな?と思った。短い簡潔な文章で書かれている。簡潔な事は決して悪いことじゃなく、むしろ利点であると思う。ただ、2話のガブがメイをみて自分の食欲=本能と友情を天秤にかけ揺れ動くところや、3話のガブとメイがそれぞれの仲間を出し抜いて秘密の友情をなんとか保とうと右往左往する場面などでは、コミカルなコントを見ているみたいな気がした。本来あるべき緊張感が見えない。

 あるいは、こういう風にスト-リーを組み立てれば読者は感動する。といった作者の思惑があまりにも見えてしまうからなのか?7話でメロドラマの定番、記憶喪失が出てきたときは「冬のソナタじゃあるまいし・・・」もう、お手上げ!

 しかし、このシリーズを読んで感動したという人が実にたくさんいる。もしかしたら、そういう人たちは素直で私のような人はひねくれているだけなのかもしれない。まだ読んでいない人はテンポよく読める話なので、続けて一気に読んでみてください。

        第1話 あらしのよるに
        第2話 あるはれたひに
        第3話 くものきれまに
        第4話 きりのなかで
        第5話 どしゃぶりのひに
        第6話 ふぶきのあした
        第7話 まんげつのよるに

                各刊 講談社から 1,050円

 

| | Comments (4) | TrackBack (2)

April 08, 2006

しらゆき べにばら

 グリム童話なんですが、かの有名な「白雪姫」とは違います。もうひとつ別に「雪白姫」というのもあるみたいです。グリム童話はタイトルだけでも似たようなものが沢山あって紛らわしいですね。

 あるところに未亡人と二人の娘が暮らしていました。庭には大きなバラの木が2本、白バラと紅バラが生えてました。娘たちもそのバラのように愛らしくしらゆきべにばらと呼ばれてました。べにばらはいつも元気で野原を駆け回り、しらゆきはおかあさんの仕事を手伝ったり、本を読むのが好きなおとなしい子でした。

 ある雪の夜、1匹のクマが凍えそうなので暖まらせてほしいとやってきました。最初は怖がっとていた二人も次第にクマと仲良くなりました。クマは冬の間毎晩遊びにやってきました。やがて春になるとクマは別れをつげ、どこかへ行ってしまいました。

 ある日長い髭を木にはさまれた小人に出会います。なかなか髭が抜けなくて困っていたので、二人は持っていたはさみで小人の髭をちょん切ります。小人は助けてもらったのに、髭を切られたことをカンカンに怒ります。

 また別の日、つりをしていた小人は釣り糸が髭に引っかかってしまいました。なおかつ餌に大きな魚が喰らいついて魚に海へ引きずりこまれそうです。しらゆきべにばらは持っていたはさみで小人の髭を切り、魚を放してやります。小人はまた髭が切られたことを怒ります。

 次に小人に出会ったとき、小人は大きな鳥に捕らえられ連れて行かれるところでした。二人は小人の体を引っ張って鳥から離して助けてあげました。今度は小人は服が破れたと行って怒ります。

 最後に小人と出会った時、小人は宝石を広げていました。するとどこからかクマが現れました。小人はクマに宝石はみんな返すから助けてくれ、自分を食べないでしらゆきべにばらを食べてくれと言います。ところがクマは小人を突き飛ばし、小人は死んでしまいます。すると小人の魔法はとけ、クマは元の王子の姿に戻りました。

 ストーリーはグリム童話にしては教訓めいたものもなく、残忍性もそれほど感じません。それだからあまり有名にならなかったのかもしれません。図書館で偶然この本を手にして絵の魅力に惹かれてしまいました。デッサンのような白と黒だけの絵にピンク(ばら色といったほうがいいんでしょうか)を合わせた素朴なタッチの絵です。二人の女の子の表情もとても愛らしいです。

 

 

| | Comments (17) | TrackBack (0)

April 06, 2006

ハンドルネームの由来バトン

 Iwademoさんhttp://iwademo.cocolog-nifty.com/blog/から ハンドルネームの由来バトンなるものを渡されました。この頃なぜか忙しくて自分の記事をアップする時間もなかなかないばかりか、パソコンに向かう時間もとれなくて気がつくのが遅くなってしまいました。

【Q1:あなたのハンドルネームの由来は?】

 お察しのとおりウルトラマンのピグモンから拝借しました。といっても私が物凄く特撮オタクだった訳ではなくて、ある若かりし頃当時流行っていたカーリー・ヘアーにしたところ友人の一人から「ピグモンに似てる」と言われました。おそらくシルエットが似ていたんだろうなと自分では勝手に解釈してるんですが・・・
 ピグモンならかわいいし、いいかいじゅうだから悪くないな と思い それ以来雑誌などに投稿する時のペンネームとして使っていました。
 そんなわけでブログはじめた時も自然にぴぐもんになっちゃいました。

【Q2:別のハンドルネームを名乗っていたことはありますか?】

 ないです。

【Q3:他の方にどのように呼ばれていますか?】

 もともとあだ名がつくような馴染み易いキャラクターじゃないらしく、小学校を卒業した後はあだ名らしきものはついたことはありません。最近日常的に接する人たちは姓+さん、高校&OL時代の友人はなまえで呼び捨て、短大時代の友人はいまだに旧姓です。

【Q4:同じハンドルを使っている人を見つけた。さあ、どうする?】

 実は存在するのです。yahooの検索〈ぴぐもん〉でかけると私のサイトは4ページ目に出てきます。ということは複数いらっしゃるんじゃないでしょうか。ちょっとコワいので他のぴぐもんさん達のところへは行ったことはありません。あたらずさわらずですか・・・

【Q5:ぶっちゃけ、改名しちゃいたかったりしますか?】

 いいえ。

【Q6:ハンドルの由来が気になる人にバトンを渡してください】

 kmyさんhttp://regentag.seesaa.netですかねえ。私の中では勝手にクミーさんと発音して、本名がくみさんとかくみこさんなんじゃないかと思っていたのですが、もしかしたらケーマイさんとかお呼びするのかな・・・など思い巡らせています。

 もしよかったらバトンを受け取ってください。

| | Comments (3) | TrackBack (1)

April 03, 2006

キツネ~傷ついたものたちの息遣い

 ka-3さんのブログ かあさんのお話ダイアリーで紹介されていた絵本です。

 羽に火傷をしたカササギがイヌに助けられる。イヌは手厚くカササギに面倒をみる。最初は投げやりになっていたカササギも次第に打ち解けてくる。飛べないカササギをイヌは背にのせてカササギの羽になり、カササギは片目の見えないイヌの目になる。二人でひとつの共同生活が静かに営まれる。
 
 そこへ部外者キツネが現れる。カササギは拒否反応を示すがイヌは快く受けいれる。キツネはカササギに自分はイヌよりももっと早く走ることができる、自分と一緒に行こう、とそそのかす。カササギはイヌを置いては行けないと断るが、三度目には承諾してしまう。

 キツネはほんとうに風のように速く走った。カササギはしばし感動を覚える。キツネは焼け付くような赤い砂漠で立ち止まり、カササギをそこにふりおろした。
 「これで、おまえもあのイヌも、ひとりぼっちがどんなものかをあじわうことになるだろうさ」
そう言い残しキツネは行ってしまう。

 焼け付くような砂漠で、カササギはこのまま死んでしまえば、かえって楽かもしれないと思う。その時、ひとりぼっちになったイヌの姿が目に浮かび、長い道のりを跳ねながら帰っていった・・・・


 最初にka-3さんの記事を読んだとき、「怖い」と思いました。古くから伝わる御伽噺のパターンでは、キツネの誘惑に負けて連れ出されたカササギはキツネにパクリと食べられて・・・おしまい。となるでしょう。

 ところがこのキツネは食べる(死を与える)代わりに「孤独」を与える。恐ろしいですね。食べるという行為は食べられた側には確かに「死」を意味しますが、食べる側はそれで命を繋ぐのです。生きるための手段です。しかしこのキツネのように他者に「孤独」を与えたところでじ自分には何の利益ももたらさないのに・・・あえてそんな事をするキツネの心は相当に病んでますね。

 実際本を手にとってみると、また違った面が見えてきました。キツネの描写は創造していたよりもあざやか。
 
  赤いふさふさの毛皮をまとって、あたりをうかがうような目つきをして、
  まるで炎の舌のように、子と木のあいだを ちらしら ゆらゆら。

  夜になると、ほら穴じゅうに、キツネのふりまくにおいがひろがる。
  なかよしたちへのねたみやうらやみ、ひとりぼっちのほこりとかなしみが
  ごちゃまぜになったへんなにおい・・・

 人間でも嫌なやつほどなにか人を惹きつける魅力があったりするものですが、このキツネにもなにかしら他者を惹きつけるものが感じられます。またイヌの無類の人(?)の良さやカササギのしたたかさ。互いに傷を負った弱い立場の者同士が懸命に生きてる姿に胸を打たれた。

 キツネだけでなくイヌの表情も実はこわい。全体的に荒涼とした雰囲気の絵も魅力的だが、手書きの文字が縦になったり横になったりしているレイアウトも面白い。

 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« March 2006 | Main | May 2006 »