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February 26, 2006

ポテト・スープが大好きな猫~いっしょにいるだけの幸せ

 人類の最大のパートナー、イヌとネコ。たいていの人はイヌ派かネコ派のどちらかに分けられるみたいだけど、私は俄然ネコ派です。イヌと人間は主従関係、ネコとは親子関係なんだそうです。イヌ派の人に言わせるとイヌは忠実であるが故可愛いらしいのですが、ネコ派からみるとネコは人間なんかにお構いなく、自分がその時やりたいように過ごす悠然としたところがなんとも魅力なんですよ。私自身もどちらかといえば性格はネコのほうだけど、人間でもイヌ的な人よりもネコ的な人に魅力を感じてしまいます。

 おじいさんはペットの雌猫と暮らしています。毎朝おじいさんが釣りに行くとき猫もお供してボートの舳先にすわり、おじいさんを見守ります。おじいさんは口癖のように「おまえはなにもしない。ネズミ一匹採らない」と猫に言います。でも、それは決して猫を責めてるわけじゃありません。猫はほんとうに何もしません。ネズミを捕らないけど、おじいさんの作ってくれるポテト・スープは大好物です。そんななにもしない猫とおじいさんの静かな毎日が静かに流れます。

 そんなある日、いつものように釣りに行こうとしたら猫が起きてきません。起こすのもかわいそうに思ったおじいさんは一人で出かけます。さて、猫は目が覚めるとおじいさんは既にでかけてしまった後。気を悪くした猫はふっと外に出て行きます。そして、おじいさんの猫のいない日々が続くのですが・・・

 「星の王子さま」に出てくる王子さまとのエピソードを思い起こさせる物語です。は高慢ちきでわがままで、それこそ王子さまのためになんか何もしてくれません。それでも王子さまはのために水をあげたり、ガラスの覆いを被せてあげたり至れりつくせり。王子さまにとってが何かをしてくれるからでも、特別きれいだからでも、性格がいいからでもなく、ただそのが存在していることがうれしいんです。

 このお話のおじいさんも、猫が存在するだけで平安な気持ちになれたのです。いっしょにいるだけの幸せ。親子でも恋人でも友達でも、ほんとうはそれが基本なんだけど、いつしか大事な基本を忘れてしまいがちです。

 この絵本、現在Amazonの絵本部門売り上げNo.1だそうです。要因のひとつは翻訳の村上春樹さんの文章にあるようです。おじいさんの淡々とした口調や物腰とハルキ節が見事にマッチ。ハルキ・ファン必読の一冊です。
 それから、いっしょうけんめいがんばって大きな魚を採ってきた猫が、採ってきた獲物を「おじいさんなんかにあげないわよ」とひとり占めするところなんか、なんとも猫らしくていいですね。


 

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Comments

存在そのものが嬉しいということに、そして、それがどんなに大切か ということに、人は なかなか気づきにくいものですね。
それは、もったいないことです。

ハルキ節がいい というこの本 是非読んでみたいです。

Posted by: noel | March 01, 2006 at 08:14 PM

noelさん、こんばんわ
 人気の絵本なので、簡単に手に入ると思います。是非ご覧になってください。
 ところでnoelさんはイヌ派ですよね?この絵本の猫もネコにありがちな生意気なやつです。好きな人にはそれが可愛いのだけど、イヌ派の人から見るとどうなのでしょう。

Posted by: ぴぐもん | March 04, 2006 at 11:24 PM

そうですね、憧れのターシャ・テューダーが飼っているコーギーをわたしも育ててみたいと思っていたところ、縁あってコーギー犬を飼うことになったのですが、実は、わたしは、イヌ派でも、ネコ派でもありません。もしくは、イヌ派でも、ネコ派でもあるかもしれません。こだわりはないです。
自分に関して言えば、気ままで行き当たりばったりのネコが、突拍子もないことをしでかさないように、イヌのように首輪でつながれて、安心している・・・というかバランスをとっている・・・というのでしょうか。
そんなわたしが見たこのネコ。。。
生意気には、見えないですよ。
だって、おじいさんが、自分だけで魚を獲りに行った後、なんにもしなかったこのネコが、自分で魚を獲りに行ったでしょ。
そして、それがどんなに大変だったか、おじいさんに訴えていたでしょ。
おじいさんの気を引くためというか、気に入られたいというか・・・
そこが、可愛いじゃないですか。
そして、解説のハルキ節は、やはり冴えていましたね。

Posted by: noel | March 05, 2006 at 12:29 PM

書店で手に取ったときに、よくは覚えていないのですが、ネコ好きにはたまらなくよくわかる絵本とかなんとか帯に書いてあった気がします。(あやふやですみません)そのことばで購入をためらってしまいました。イヌはまったくダメですが、ネコが好きかと言えば、難しいところです。動物が苦手なのかもしれません。でも、気になるのでまずは図書館で借りてみようかな、と思っているところです。エッセイにも小説にもよくネコが出てきますが、それ自体には意外とすんなり入っていけるものなので。

別記事ですが、「おさる日記」というタイトルが判明して、読んでみたかったので嬉しいです。気になっていました。

Posted by: kmy | March 05, 2006 at 04:40 PM

noelさん
 生意気というと、ちょっと違うのかもしれませんが、猫特有の少し澄ました態度っていうんですか、そこがたまらなく可愛いんですよ。あとウチのネコも以前はネズミやトカゲを獲ってきては「ねえ、見て見て、あたし捕まえたの」と自慢げに見せびらかしたりしました。そこがまた可愛いんですが、始末する身にはちょっと・・・閉口。

kmyさん
 特にネコ好きじゃなくても楽しめると思います。『星の王子さま』の王子さまと花、あるいは王子さまとキツネみたいに両者の関係がお話の主軸なんだと思います。
 ところで『おさる日記』結構気になってた人多いんですね。私も読みあがり次第アップしようと思ってます。
  

Posted by: ぴぐもん | March 08, 2006 at 01:41 PM

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