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January 09, 2006

雪の女王

 潜在的に雪景色に対する憧れがあるのか、好きな童話の中に雪が出てくるものが多いんです。私の雪が舞台になった好きな童話ベスト3をあげるとすると、ライオンと魔女森は生きている、それから雪の女王です。

 子どもの頃、この話を読んでなぜだか惹かれるものがあったのですが、そのわけがよくわかりませんでした。そもそも雪の女王とは何者で、なんの目的があってカイをさらっていったのか、さっぱり意味がわからなかったのです。

 おとなになって読み返してみると、なんとなく魅力の糸口が解けてきました。まず、他のアンデルセン童話にも見られるフェミニズム。昔話や昨今のゲームにもあるような捕らわれたお姫様を王子様が助け出すのとは反対に、この物語は捕らわれるのは男の子、助けにいくのは女の子。ゲルダもアンデルセンのヒロインにふさわしく、勇気と行動力があって、自分の力で運命を切り開いていきます。

 雪の女王が何者であるかも、ぼんやりとですが見えてきました。まず、綺麗であること。それから広い大きな御殿に多くの僕を従えて住んでいる事。仕事もちゃんとあるようで、火山に雪を降らせるのが彼女の仕事、或いは仕事のひとつのようです。火山に雪を降らせる事がレモンやブドウのためになるんだそうです。つまり、世の中の役に立つ事をやってるんですね。それに加え、捕らわれの身のカイにむかって「理知の氷遊びの言葉を全部組合す事が出来たら自由にしてやる」と約束までしてくれるのです。どうやら、子どもの頃に抱いた単なる恐い女の人ではないようです。

 美と富と権力を手にしている雪の女王。そんな恵まれた人が何故カイをさらっていったのでしょう。----寂しかったからでしょうね。雪の女王も、ゲルダを引き止める魔法使いのおばあさんも、山賊の娘も、みんな、寂しかったのでしょう。

 ありとあらゆるものを手にしながら、一番大切なものが得られなかった雪の女王の悲劇を雪と氷の描写によって描いた、きれいで幻想的な傑作です。


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Comments

初めまして。雪の女王、私も大好きです。子どものころに見たアニメが忘れられないのですが、ぴぐもんさんは、ご存知ですか。ソ連(現ロシア)製のアニメですが、内容的にも、アニメとしての完成度も最高だと私は思います。このアニメに出てくる山賊の娘のキャラクターが、宮崎駿に影響を与えたとか聞いたような気もします。今放映されているNHKのアニメは、ちょっとひどすぎますが、きちんと映像化されたものは子どもの心にも残ると思うのです。

Posted by: aya@ara | January 10, 2006 at 11:49 AM

aya@araさん
 ぴぐもんの書斎にようこそ。残念ながらロシア製のアニメは見たことがありません。宮崎駿に影響を与えた(といわれてる)くらいなら、きっと素晴らしいものだったのでしょうね。
 aya@araさんのおっしゃる通り、子ども向きだからって侮ってなんでもテキトーに製作すると子どもにそっぽ向かれますよ。難しいものでもいいものは子どもにも良さがわかるんだと思います。
 よかったらまた遊びにきてください。

Posted by: ぴぐもん | January 10, 2006 at 08:46 PM

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» 『雪の女王』 アンデルセン作 荒俣宏訳 [古びた森小屋]
この前、アンデルセン展に行ってきた時に衝動買いしてきた本です。 『雪の女王』は何度も絵本などで読んできましたが、まともに作品を味わったのは今回が初めてという気がします。 グレードは3、4年生向けです。翻訳は荒俣宏さんですし、大人が読んでも深くて面白い物語だと思います。... [Read More]

Tracked on January 22, 2006 at 07:38 PM

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