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August 15, 2005

ヘンゼルとグレーテル~喰うか喰われるかの物語

 英語教室の仕事をしていた頃、英語劇の発表を今年もやるかとの問いかけに子ども達は二つ返事で答えました。演目も「ヘンゼルとグレーテル」に直ちに決まり、配役も問題なく決まり、早速練習に入ったのですが、さて困った。子ども達がセリフを覚えられない。そのクラスは前の年「ももたろう」をやったのですが、特に苦労することなくセリフも覚えてしまいましたので・・・

 リズムがない!!そう、スキットを組み立てていた時から感じていたのですが、「赤ずきん」や「3匹のコブタ」にあるような会話のリズムが、「ももたろう」にあるような語りのリズムがこれにはないのです。ことばは、ただ単に簡単だからとか習ったことばだから覚えられるという訳ではないんですね。

 お母様方のたっての願いで、土曜日に特訓をして無事発表会は成功しました。それにしても、その年のそのクラスのお母様がたの気合は相当なものでした。それぞれの衣装も完璧に役になりきっていたし、実家が大工さんというトオルくんはお父さんと張りぼての木を作ってくれ、ヒトミちゃんのお母さんはファンタスティックの魔女の家の背景を描いてくれ、アズサちゃんとアイちゃんのお母さんは段ボールでかまどをこしらえてくれました。

 ビデオ撮りしてくれた常務もひどく感心して、「しかし、あの舞台セットは凄い。先生、ご父兄から余程 信頼されてるんですね」とお褒めのことばをいただきました。

 実は演目が「ヘンゼルとグレーテル」に決まったときから、私自身あまり気がすすまない部分がありました。というのもこの話が実際あまりすきじゃないからでしょうね。

 貧しいからとはいえ、子どもを捨てる親がいて、お菓子で釣って文字通り子どもを食い物にする魔女がいて、自分の身を守るため魔女を殺すまでは仕方ないとしても、魔女の家の宝物を盗む子ども達がいる。物凄いサバイバル・レースですね。もし、魔女を殺さなければ自分達がやられてしまう。貧しいから追い出された訳だから、手ぶらで帰るより宝物を持って帰った方が家においてもらえる。善悪よりも自分達の命を繋ぐ方が先。アドベンチャー・ゲーム以上の世界です。

 さて、原作のような悪いお母さんは嫌だという子ども達のたっての願いを聞き入れて、ラスト・シーンはお父さんとお母さん、2人が子どもを捨てたことを後悔している場面ではじまります。そこへ宝物を持ったヘンゼルとグレーテルが帰ってきて感動の再会。宝物を差し出したヘンゼルにお父さんは首を横にふりこう言います。
  "You are my treasures!"

 お恥ずかしながら私のラテン系の父親はよくこう言ったものです。「お前達はパパの宝物だ」と。こんなところで拝借してしまいました。日本語で言うと気障ったらしいことばも、英語だと自然に聞こえるのが不思議ですね。

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Comments

うちの娘たちも、お母さんに捨てられるこのお話を怖がっていました。
心理学者の河合隼雄氏によると、このお話は、女の子の 母親からの自立を意味するそうですね。
そう思って もう一度読むと、とてもおもしろいです。

Posted by: noel | August 16, 2005 at 02:00 AM

 確かにそうですね。「お菓子の家」の体験を通して大きく成長したのはヘンゼルよりグレーテルのほうですね。以前読んだグリム童話を元にした漫画にこんなものがありました。

 ヘンゼルは勝気できびきびしたお母さんがちょっと苦手。でも可愛いグレーテルは大好きで「ぼくがいつでも守ってあげるよ」という気持ちでいた。お菓子の家の冒険から帰ってくると、怖いお母さんはいなくなっていた。その変わり、しっかり者のグレーテルがお父さんやヘンゼルをきびきびと叱咤し、まるでグレーテルがお母さんになってしまったみたいだ。

 

 

 

Posted by: ぴぐもん | August 25, 2005 at 11:49 PM

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