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August 12, 2005

おかあさんのたんじょう日~父性との出会い

 縁あってラボ・テューターという仕事を2年ほどしていたことがあります。いわゆる子どもの英語教室の先生みたいなものなんですが、普通の英語教室とはこれがまた随分違うんです。普通の英語教室みたいに遊びながら英会話の練習をするでもなく、塾みたいに読み書き文法を習うでなく・・・やり方としては英語の歌を歌ったり、芝居みたいなことをして英語と触れ合っていくんですが・・・よその英語教室に比べると英語の習得率はよくないですね
(^ー^)

 一風変わった教室でして、英語はコミュニケーションの手段。なので英語を覚えるより人とコミュニケーションする力をつける・・・人前で自己表現できるようにしたり、知らない人と人見知りしないですぐ仲良くなれる・・・みたいなことをひとつの目標にしています。 また母国語教育にも力を入れていて、教材のCDも英語と日本語が5:5で吹き込まれていたり、日本語でのことばのやり取りや表現も重視します。母国語で上手に表現できる(話せる)子は外国語でもできるという理論に基づいています。

 さて、私がテューターをしていた頃のある日、幼児のグループに絵本を読んだあと子どもたちにストーリーについて質問します。

 「最初にダニーが会ったのはだれ?」
 「にわとりー!」
 「にわとりはオトコ?オンナ?」
 「おんな!」
 「どうして?」
 「だってオンナじゃないとたまごうめないもん」
 「その次はだれに会った?」
 「がちょう!」
    というふうに語り掛けを続けます。

 そのグループの子たちはお話の内容はちゃんと理解していました。ダニーはめんどり、がちょう、やぎ、ひつじ、めうしと順に訪ねて行って、おかあさんへの誕生日プレゼントを相談します。めんどりは卵、がちょうは枕にする羽、やぎはチーズ、ひつじは毛布にする羊毛、うしはミルクをあげようと言ってくれるのですが、ダニーはもうあるからと断ります。私はそれぞれの動物についてオトコかオンナかを訪ねました。がちょうだけは意見がまとまりませんでしたが、他の動物はみなオンナと答えました。なぜ?という質問に対してはめんどりはオンナじゃないと卵うめないから、やぎとうしはオンナじゃないとミルクがでないから、ひつじはなんとなく。

 私が何故こんな質問したかわかりますか?オス、メスではなく敢えてオトコ、オンナで聞いたのは・・・実は英語版ではそれぞれMrs.Hen,Mrs.Goose,Mrs.Goat・・・となっていてあとで出てくるくまだけがMr.Bearなんです。英語を聞きとれればわかることなんです。でも、そのグループの子は残念ながら英語に感心を持っている子はいませんでした。その代わり5歳児ならではの知識とカンで答えてくれました。

 英語を意識させようと何気なく問い掛けたことばですが、あとでこれが結構意味があったことがわかりました。
卵を産む、乳を出すというのは”おかあさん”を象徴します。羽毛の枕や羊毛の毛布はあたたかくほんわかしたイメージ、つまりこれも”おかあさん”をイメージします。

 さて、動物たちからは目新しいものが得られないと知ったダニーはひとり森の奥に住むくまさんのところに相談に行きます。おそらくダニーの家では自給自足のために動物たちを飼っていたのでしょう。つまりおかあさんの目の届く庭から、ちょっと遠くの森まで行ったのです。しかもくまは大きくて強くてコワイ・・・父性を象徴しています。

 おかあさんの愛情に包まれていた子どもが、一時おかあさんの手を離れて父性的なものと出会う。ちいさな冒険そして成長の物語です。

   


 

 

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Comments

やはり、そうですか。
わたしも、ラボのテューターを3年ほどしたことがあります。
かつて、わたしがラボッ子だったこともあるんですよ。
その時に、絵本のすばらしさを教えてもらいました。
今も絵本に興味があるのは、そのせいかもしれません。

Posted by: noel | August 13, 2005 at 12:07 AM

 そうでしたか。noelさんもテューター経験があったんですね。なんかうれしくなります。私はそれ以前に他の子どもの英語教室の講師をしていたので、ラボはいろいろ楽しい面もあったけど自分の仕事としては向かなかったように思います。でも、下の子はとりあえず今もラボッ子です。
 もともと本は好きだったのですが、ラボでずいぶん児童書や絵本の勉強をさせていただきました。このブログも、テューター時代自分のパーティー通信に載せた読書案内が元になっています。もう、かつてのネタは尽きてきたので、これからはゆっくりと書き足して行こうと思います。
 

Posted by: ぴぐもん | August 14, 2005 at 04:28 PM

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