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June 24, 2005

わがままな大男~ダンディー作家が作ったきれいなおはなし

 オスカー・ワイルドといえば何よりも「幸福な王子」が有名ですね。ワイルドは童話は勿論、戯曲や小説も面白くて、英文学に傾倒したことのある人なら一度ははまる作家の一人です。私生活のほうも面白く、お洒落で気障。
決して魅力的な外見ではないのに、その話術であった人をとりこにしてしまう魅力があったようです。そしてお金の使い方、遊び方が派手でスキャンダルのネタに耐えませんでした。今でいう‘ワイドショー‘にちょこちょこ顔を出す有名人ってところでしょうか。

 私は、もしも”あの世”というものが存在して、この世からすでにいなくなった人に会えるのだとしたら、会ってみたい人の一人です。好きな作家はたくさんいますが、この人に会ってみたいと思う作家ってそうそういません。

 ワイルドの童話はそのスキャンダラスな私生活からは考えられないくらい、きれいなものばかりです。”きれい”というのはことばの表現方法、修飾語の使い方もきれいだし、語り口のリズムもまたきれいです。が、それ以上にストーリーの根底に何かしらピュアなものを感じさせます。

 気障な遊び人も家に帰ればただの親父。ワイルドも2人の男の子のお父さんです。次男のシリルにこの話を聞かせてあげているとき、語っている自分自身が感激して泣いてしまったというエピソードがあります。

  「パパ何故泣いてるの?」 と息子に聞かれ、
  「パパはきれいなものに触れると、自然に涙が出てしまうんだよ」 と答えたそうです。

 自分の作った話に泣くなんて、なんてナルシストなんでしょう!・・・とも思いますが、なんとも微笑ましい気もしますね。

 大男のように人間は皆、放っておけば身勝手になってしまうものなんじゃないでしょうか。人間のわがままさ、身勝手さに目を覚まさせるのは、純粋なもの、無垢なものの存在でしょう。絵本でストーリーを確認した後、是非、西村孝次訳を呼んでみてください。ワイルドの語り口が生かされた素敵な文章です。

 

 

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