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May 21, 2005

ぐりとぐらのカステラ?

 ぐりとぐらのお話は誰でも一度は読んだり、読んでもらったりしているんじゃないでしょうか。カステラが焼きあがってふたをとった時のあのなんとも美味しそうな黄色と動物達の表情。いい匂いがしてきそうですね。

 ところで、あれはカステラといっていいのでしょうか?
カステラを生地を蒸し焼きにしたもの。ぐりとぐらは鍋(pan)で作ってるからあれはパンケーキじゃないかしら?
常々そう思っていたら同じことを考える人がけっこういるようで、原作者の中川李枝子さんのところに
 「あれはパンケーキ(ホットケーキ)じゃないんですか?」という手紙が届くようです。
 しかしながら中川さんは頑としてカステラだと言い張ります。
 「だってホットケーキよりカステラのほうがなんか高級な感じがするでしょ」とのこと

 う~~~む。だけどやっぱりパンケーキとしか言い様が・・・・いや、待てよーーー子どもの頃近所のおかあさんたちの間で、”無水鍋”というものが流行ったな。オーブンの代わりにパンやケーキが焼けて、おひたしも水を入れずに作れるーーー

 そうか!ぐりとぐらが使っていた鍋は“無水鍋”だったんだ。などと勝手なことを思い巡らせてしまいましたが、ぐりとぐらのお話はどれもみんな、ほのぼのとあたたかくて素敵です。理屈抜きにたのしみましょう。

 ところで、「そら色のたね」の中にも ぐりとぐらが出てくるの知ってましたか?

      

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ライオンと魔女~洋服ダンスの向うの世界

 近々この映画が封切られるそうですね。原作の良さは完全には演出できないんじゃないかと思うのですが、やっぱり見てみたい気持ちです。配給元がディズニーというのはちょっと気に入らないけど・・・・

 私はどうも現実的な話より非現実的な話、それも異世界の話が好きです。それもまるごと異世界じゃなくて、あくまでも主人公は現実世界の人。いつもは我々と同じように日常生活をおくってるのに、何かのはずみで異世界へ入ってしまう話に魅力を感じます。

 妖精の粉を振りかけられて”ないないないの国”に行ってしまったウェンディ、竜巻に飛ばされて”オズの国”に来てしまったドロシー、それからウサギの穴へ落っこちて異世界へ迷い込んでしまったアリスもいましたね。
 「ライオンと魔女」に出てくる子どもたちもかくれんぼをしている洋服ダンスの奥へ奥へと入っていくうちナルニアの国に行ってしまいます。私が子どもの頃読んだ本では”洋服ダンス”となっていましたが、原題は”Lion,Wichi and Wardrobe"。 タンスというよりウォーク・イン・クローゼットといったほうがしっくりきますね。

 この本を最初に読んだのは確か小学校2年生の時だったと思います。それ以来おとなになるまでごぶさたしていました。ライオンと子ども達が白い魔女と戦うこと、魔女の造りだした雪景色の寒々しい世界観、そしてなんだかちょっとコワいことだけ覚えていました。

 さて、おとなになって読み返してみると、これがまた面白い!!わくわくするストーリー展開、それに主人公のベベンシー家の子どもたちが必ずしも”いい子”でないところがいいですね。
 それから、ある種のコワさも感じました。それは魔女の持つ残忍なコワさだけでなく、正義の味方であるライオンのほうにも別のコワさがあるのです。

 そして何より最も感激したのは、このストーリーが世界で最も読まれているある本にとっても似ているということです。------なんだと思いますか?------答は新約聖書です。聖書に親しんだことのある人ならこの物語の壮大さをきっと感じることができるでしょう。

 この「ライオンと魔女」は「ナルニア国ものがたり」として全7冊のシリーズ構成になってます。シリーズものは最初の一冊が一番面白いとよく云われます。私自身最3冊目の「朝開き丸」までしか読んでませんが、その中では「ライオンと魔女」がやっぱりダントツですね。

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May 05, 2005

三匹のコブタ~末っ子のしたたかな処世術

 古今東西のお伽噺には、よく兄弟(姉妹)が登場します。そしてどういうわけか兄・姉はずるくて愚かで、弟・妹は正直で賢く最後に得をするのはいつも弟・妹・・・という図式が圧倒的に多いのです。これは3人姉弟の一番上に生まれついた私にはなんとも面白くない現象なんですが、多くの民承童話として語り継がれているからには、そこになにかしらの根拠があるんだと思います。

 3匹のコブタ、7匹の子やぎ、イワンの馬鹿、長靴をはいた猫、日本の神話には海彦・山彦や大国主の命など最後に笑う弟達の物語を代表して今回は「三匹のコブタ」を取り上げてみたいと思います。

 三匹のコブタにもさまざまなパターンが存在していて、どの話にも共通するのは3匹がそれぞれ藁、木、レンガの家を建て、藁の家と木の家はオオカミに倒され、レンガの家と3番目のコブタは助かるということ。
 コブタの関係は兄弟としているものが最も多いが、なんの関係も示されてないものもある。一般には長男が藁、次男が木、三男がレンガの家を建てるが、三男が藁、長男がレンガの家を建てる話も少数だが存在している。 

  我々が子供の頃読んだ話は藁の家が倒され、長男が次男の家に逃げる。次に木の家が倒され、長男と次男が三男の家へ逃げ、オオカミはレンガの家を倒せず、煙突から入ろうとするが尻尾を火傷して逃げていってしまうという話。これは日本のえらい人たちによって教育的配慮で編纂されたもので、後に最も有名なジェイコブス版を知ってショックを受けた方は少なからずいるでしょう。今回はジェイコブス版をテキストにしたいと思います。

 ちなみに「三匹のコブタ・マニア」のK氏によると、日本で発売されている絵本のオオカミの最後は
  鍋から逃げるのが42%、食べられちゃうのが33%、死ぬのが5%、その他20%とか。

 一口に弟・妹といっても、2人兄弟の下の子と3人以上兄弟のいる末っ子とは大きく意味が違います。2人兄弟の場合は兄や姉と下の子の関係はあくまでも1:1ですから兄や姉と互角に渡り合えるわけです。ところが兄や姉の数が増えれば増えるほど末っ子は分が悪くなります。万が一自分以外の兄弟がスクラム組んでしまえば一番小さな自分はもう太刀打ちできない。従わざるをえない状態になるのです。大国主の命などは10人の兄を敵に回したおかげで2度も死んでいます。

 そんなわけで末っ子というのは誰よりも社会の厳しさ、己の小ささ、弱さをわきまえている存在といえます。それ故に末っ子は慎重にある意味ずる賢く立ち振る舞うのでしょう。

 三匹のコブタでも末のコブタは誰よりもオオカミ(社会)の怖さをわかっていたのです。だからこそ慎重に時間をかけてより頑丈な家を造りました。オオカミの仕掛けた誘いにも、頭から断るのではなく誘いに乗るふりをして逆にウラをかいてしまうしたたかぶり。樽に入って転がっていくところなんかは本当は自分のほうが怖くてヒヤヒヤだったのでしょうね。その反動で助かった後の爽快感、開放感はこの上なく、大笑いしてオオカミの怒りを爆発させます。そして理性を失って煙突によじ登るオオカミを横目に鍋を火にかける手際のよさ。事態を冷静に判断してますね。

 この話は、いつも食べられるだけの弱いコブタが強いオオカミをやっつけてしまうパラドックスが何より面白いのですが、自分より強い者の扱いを知ってる者、自分の弱さをわきまえた者の賢さ、考えようによってはいやらしさが読む人に知らないうちに感銘を与えているのかもしれません。

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