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April 27, 2005

人魚姫~自らの足で歩くお姫様

 数年前、グリム童話の残忍性がもてはやされた時期がありました。一方でフェミニスト達からはグリム童話は女性蔑視との声もあがりました。時代背景もあることなので仕方がないことですが、確かにグリム童話に出てくる女性は自立した存在とはいえません。オオカミに食べられた赤ずきんは、たまたま通りかかった猟師に助けてもらいます。白雪姫も眠り姫も、たまたま通りかかった王子様に助けられます。シンデレラも魔女の力を借りなければ自分のおかれている環境から抜け出せなかったでしょう。

 ところが、アンデルセン童話のヒロイン達は自分の手で運命を切り開いていきます。「マッチ売りの少女」は売れ残ったマッチを擦って暖まろうとします。それは、その時彼女に出来るただひとつのことを実行したのです。モグラのお嫁さんにされそうな「おやゆび姫」は、恩人であるネズミを裏切ってまで自分の意志を通し、南の国に旅立ちます。「雪の女王」では捕らわれた少年カイを救いに、少女ゲルダが旅に出ます。

 さて、今回のヒロイン人魚姫。初めて見た人間の王子に一目惚れしてしまったがために、魔女に頼んで人間になる決意をします。海の中にいればお姫様としてなに不自由なく暮らせるのにです。自慢の綺麗な声は奪われ、歩く度に足が痛むにもかかわらず、好きな人の傍にいたい一心で過ごします。王子に求められるままダンスの相手もします。激しい痛みにも耐えながら。
 そんな彼女の想いはとどかず王子は別の女性を選んでしまいます。それでも、彼女は自分の命を犠牲にしてまで王子を守ります。

 これは単なる可哀想なお姫様の話ではありません。お伽噺の中とはいえ、こんなに一途で勇気のあるヒロインはなかなか存在しないでしょう。これは、この世で最も美しい話のひとつだと私は思います。


        

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